2025.08.20

世界初成功!ハロゲンフリーのプラズマプロセスで 次世代半導体材料を原子レベルで微細に加工・制御

名古屋大学低温プラズマ科学研究センターの蕭 世男(シャオ シーナン)特任教授 、堀 勝 特任教授らの研究グループは、台湾の明志科技大学との共同研究で、ハロゲン(フッ素、塩素など)を使用しないプラズマプロセスにより、最先端半導体デバイスにおける強誘電メモリやゲート絶縁膜に用いられている酸化ハフニウム(HfO₂)の異方性原子層エッチングに世界で初めて成功しました。
半導体デバイスの高集積化、高性能化のために、回路パターンの微細化が進められており、それに応じて新しい材料やデバイス構造の開発も進められています。近年、超微細トランジスタにおける最先端ゲート絶縁膜や強誘電体メモリの分野においては、HfO₂の原子層エッチング技術の研究開発が不可欠です。しかし、ハロゲン系ガスを用いたプラズマエッチングでは、生成されるハフニウムのハロゲン化物の揮発性が低いことに加え、HfとOの結合エネルギーが高いため、HfO₂は「難エッチング材料」と言われています。ハロゲン系プラズマによるエッチングモデルの観点から、高温によって揮発性を高めること、あるいは高エネルギーのイオンを利用し、物理的な衝撃により反応生成物を除去(スパッタリング)する方法しか取れないと考えられています。
本研究では、独自に開発したリアルタイム表面構造分析装置を利用し、表面のエッチング反応機構を解明しました。この成果により、最先端半導体デバイスの実用化に対し、難エッチング材料であるHfO₂の最先端微細加工技術を実現できました。さらに、ハロゲン系ガスを使わないことで、持続可能な開発目標の達成に向けたプラズマ技術が推進されることが期待されます。
本成果は、2025年7月22日付の学術誌「Small Science」に掲載されました。


詳細はこちらをご覧ください。