2023.10.17

低温プラズマ処理による酒米収量・品質の向上 〜「ICT×プラズマ」を用いたスマート先進農業へ向けて〜

 近年の社会情勢や気候条件の変動によって日本の農業は大きな過渡期を迎えており、スマート化を推進することが急務です。そのためには気象、降水量、施肥、とともに生育や収量などのビッグデータを収集し、コンピューティングを活用して様々な栽培環境や生育状況を制御可能とするシステムを構築することが重要です。
 近年、大気圧低温プラズマ(低温プラズマ)を医療・農業などバイオ分野で応用研究が盛んに行われており国内外から注目されています。国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学低温プラズマ科学研究センターの堀 勝 特任教授、橋爪 博司 特任講師らの研究グループは、富士通クライアントコンピューティング株式会社 (FCCL) との共同研究で、水稲栽培において低温プラズマ処理 注 4) を行うことにより、玄米収量増加のみならず、玄米の品質も向上することを見出しました。中でも、倒伏しやすく一般に栽培が難しいといわれる酒造好適米 (酒米) 品種に対しても有効であることを新たに発見しました。すなわち、低温プラズマが様々な種類の作物栽培に対して広く有効であり、高品質な食料の安定的生産を可能とする新しい技術であることが示されました。

プラズマ技術と ICT 農業を組み合わせて作物栽培を制御可能とするシステムを構築することにより、持続可能な開発目標 (SDGs) 達成に向けた大きな前進が期待できます。
本研究成果は、2023 年 6 月 6 日付学術誌「Free Radical Research」にオンライン掲載されました。

詳細はこちらをご覧ください